エレクトロ・ワールドの熱狂

ElectroWorld

メジャーデビューシングルの『リニアモーターガール』、第2弾の『コンピューターシティ』から続いた、通称「近未来三部作」の完結版となった『エレクトロ・ワールド』は、現在の彼女達のライブでも定番楽曲として取り上げられるという、三部作の中でも特異的な逸曲である。

過去にはライブの前半盛り上げの場所に据えられることもあれば、ライブ中盤の盛り上げ絶頂タイミングで供されることもある。して、何故にこの楽曲がファンの皆さんを含めて至極熱狂的な場を作り上げられるのか。

楽曲の歌詞には、

『地図に書いていてあるはずの町が見当たらない
振り返るとそこに見えていた景色が消えた』

と始まって

『この世界 僕が最後で最後最後だ エレクトロワールド』

と、大サビに突入して

『この世界のスイッチ 押したのは誰なの
あああ もうすぐ 消える エレクトロワールド』

で結ばれる。

 

彼女達は、東京に上京してから3作のシングルをリリースして鳴かず飛ばずならば広島に返されると言われていたとか、彼女達の所属事務所で同様のグループが売れないまま順次解散していっただとか、そんなさなかのこの楽曲リリースだったと聞く。

歌詞を読み込むと同時にそういう背景を思い返すところ、実に自虐的な歌詞が展開されているのだけれども、彼女達は結果的にその後のチョコレイト・ディスコ〜ポリリズムの奇跡を経てブレイクを果たす。自分を含め、ポリリズム以降にファンになった方達の思いとしては『よくぞその辛い時代を耐えぬいてくれて、今ここで楽しませてくれていてありがとう』という気持ちもさることながら、その楽曲性にも感銘する。

そして、オトナファンの皆さんにとっては、自己の現実世界で実際に『振り返るとそこに見えていた景色が消えた』なんてことが自己の身に起こっていたりする。そんな中、彼女達は『エレクトロ・ワールド』の世界をくぐり抜けてブレイクを果たしていった事実に、一服の高揚感を感じたりする。

彼女達の当時の境遇と今の活動に対する対比における一種の驚きと、自己の不安定さを楽曲に投影したライブの中での高揚感。ヤスタカ兄の描く近未来世界は、案外リアリスティックであると同時に浮世の残酷さを彼女達のCuteでCoolなパフォーマンスと共鳴させて一種独特な世界観をライブの場で供している。彼女達の楽曲は、実はポップなんてものではなくてオトナにじっくり聴き解いてほしいものであったりする。

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