ライブで曲が育つ、ということ

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 彼女達は『ライブで曲が育つ』という言い方をしている。楽曲リリース時には盛り上がるか微妙だった楽曲が、ライブでのパフォーマンスを重ねていくうちにライブの核となる程の重要な位置付けになっていくことを言っているようだ。

古くは『ポリリズム』、そして『チョコレイト・ディスコ』『ワンルーム・ディスコ』ときて『Spending all my time』と続く。近頃特に意義深いのは『Spending all my time』だろう。

彼女達の海外進出に際して『日本の良さをそのまま持ち出す』と決めた方針に対して、ヤスタカ兄はいきなり全部英語歌詞のこの楽曲をぶつけてきた。彼女達は戸惑い、日本のファンの皆さんが不安がらないようにと日本語歌詞を少しだけ入れること提案。曲調もこれまでのポップ性が低くガチガチのEDMだったから不安だらけだったようだ。

しかし英語圏での英語歌詞楽曲重要度は高かったようで、各地の海外公演ではこの楽曲の盛り上がりはかなりのものであって、欧州公演直前に割り込んできた『カンヌ国際広告際』でのデモンストレーションでは英語楽曲だったからこその要素も含め、彼女達にとって名刺代わりになっていた。

そしてRhyzomatiksによる動体衣装へのプロジェクションマッピングはこの楽曲に結びつけられ、そのテクノロジーの奇抜さと驚きそして彼女達がこの楽曲を通しての海外で様々な好展開が連想されて、日本の地でもライブの要となる位置でパフォーマンスされ大いに沸いている。

EDM楽曲としても、本場欧州の多くのそれと比べて繊細で厚みのある丁寧な作り込みがヤスタカ兄によってなされている。そしてEDMトップレーベルのAstralwerksからの配信がかなった際には、この楽曲があって著名DJのDV&LMによるリミックスが実現しEDM界で話題をさらった。もちろんチャンスや環境面だけでなく、彼女達のライブパフォーマンスとオーディエンスとの呼応もライブの中で楽曲を育てている。

ファンの間にもリリース直後には不安視が実在したこの楽曲、今にしてみるとこれがなかったら前述のチャンスに遭遇できていたかどうか分からないほど重要な役割を担ってきた。そして、3度目のワールドツアーを終えた彼女達は、海外ファンの皆さんのためにもっと英語楽曲が必要なのかもしれないと言及している。

曲も作らなければ詞も書かず、演奏もせずライブではリップシンク中心の彼女達の活動が、ライブで曲が育っていくということを体現している。実に興味深い側面だ。

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